パワーハラスメントとは
"パワーハラスメント"とは、いわゆる"職場いじめ"を総称する日本語造語として近年大きな話題となってきています。うつ病などでの労災認定基準ができ、うつ自殺の裁判が起こされるなど労務管理上の大切なテーマとなってきています。
パワーハラスメントの定義
- 「同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える 又は職場環境を悪化させる行為」
(職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議ワーキング・グループ報告より)
パワハラにあたること
パワーハラスメントの行為類型
- ■身体的な攻撃(暴行、傷害など)
- 頭を小突く。胸倉をつかむ。髪を引っ張る。物を投げつける。
- ■身体的な攻撃(暴行、傷害など)
- 頭を小突く。胸倉をつかむ。髪を引っ張る。物を投げつける。
- ■精神的な攻撃(脅迫、名誉毀損、侮辱、ひどい暴言など)
- 人前で大声で叱責する。「死ね」「クビだ」などと脅かす。
「バカ」「給料泥棒」など、人格を否定するような言葉で執拗に叱責する。 - ■人間関係からの切り離し(隔離、仲間外し、無視など)
- 日常的に挨拶しない。会話をしない。
部署全体の飲み会や宴会に誘わない。 - ■過大な要求(業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害など)
- 明らか達成不可能なノルマを課す。一人では無理だと分かっている仕事を強要する。
終業間際に過大な仕事を毎回押し付ける。 - ■過小な要求(業務上の合理性無く、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じる、仕事を与えないなど)
- 本来業務ではない草むしりや倉庫整理をさせる。コピーなどの単純作業しか与えない。
- ■個の侵害(私的なことに過度に立ち入るなど)
- 個人の宗教や信条について触れて批判する。
しつこく結婚を推奨する。
上記がパワハラに当たりうる全ての言動を網羅している訳ではありません。
(職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議ワーキング・グループ報告より)
管理職のパワハラ度セルフ・チェック
- どうも、出来の悪い部下との巡り合わせが多い気がする
- ついつい、部下の前で会社への不満を言ってしまうことがある
- 最近、仕事の進行管理がうまくいっていない
- あまり人を褒めることができない性格だ
- 部下などから批判がましいことを言われてカッとしたことがある
- ついつい、部下の陰口を言ってしまうことがある
- 部下を叱るとき、TPOを考えない事がある
- 部下の言い訳が多すぎると感じている
- 周囲の調和を乱す目障りな部下がいる
- 最近、仕事に出るのが憂鬱に感じることが多い
パワハラ上司はどんな人? ~こんな人は要注意!~
仕事に過剰適応な上司
- 自己中心型
-
- 「オレについてこい主義」で、他人の言うことに耳を貸そうとしない。
- 自分のやり方に自信をもっているのでそれを押しつける。
- 自分のやり方への批判を許さない。
- 過干渉型
-
- 完璧主義で、手抜きを許さない。(他人に厳しい)手取、足取り教えようとする。
- 自らの成功体験を語りがちで、相手の置かれた状況を無視して、おせっかいをする(説教が大好き)。
- 自分は面倒見がいいと思い込んでいて家族主義を振り回し、プライバシーにまで干渉する。
仕事に消極的な上司
- 事なかれ主義型
-
- 上の意向を気にして自らの判断をしようとしない。
- 失点を恐れて、新しいことにチャレンジしようとしない。
- 状況変化への適切な対応や突発的な危機管理ができない。
- 無責任型
-
- 部下に任せきりで、リーダーシップを発揮しない。
- 仕事への不満や処遇上の不満を募らせている(上層部や部下への不満、そしてポジションや処遇への不満)。
- 部下などに責任を押しつけて責任回避ばかりする。
企業がとるべき対応は?
対応の基本
パワハラへの対応は、なるべく初期段階で対応するほうが解決が容易です。それは、時間が経過するほど深刻化することが多く、解決が困難になるからです。そこで、問題が起こった場合には、できるだけ迅速な対応が必要とされます。
問題が発生した場合、迅速かつ適正に問題が処理されるためには、まず、何よりも職場の苦情処理相談窓口や上司に相談が寄せられることが必要です(問題をキャッチする)。
そして、その寄せられた相談に対して相談窓口や上司が連携して、初期段階で迅速かつ適切な対応ができることが大切です(初期段階での対応)。
また、問題によっては、会社のル-ルによって、苦情処理機関などの公正かつ厳正な対応が、解決に向けて重要なものとなります(信頼される解決機能)。
心構え
実際にいじめ問題が発生したら、相談・苦情には、次のような視点を踏まえた対応が必要になります。
- パワハラは労働者の個人としての名誉や尊厳を傷つける問題であることを基本に、人権の問題であるとの認識を持って、人権尊重の視点から対応する。
- パワハラの問題は個人の問題にとどまらない、職場環境の問題であり、雇用上の差別ともなりうる人事・労務管理上の問題としてとらえて対応する。
- 加害者、被害者の心理や意識の違いから生ずるコミュニケーション・ギャップが問題の理解を困難にしているため、双方の意思疎通を図ることを重視した対応を進める。