マタニティハラスメントとは
妊娠・出産、育児休業・介護休業などに対する事業主の不利益取扱は、すでに法律で禁止されていますが、新たに「上司・同僚からの職場における妊娠・出産・育児休業・介護休業等に関するハラスメント」をマタニティハラスメント(マタハラ)として禁止されることになりました。そしてセクハラと同様に、雇用主に対して防止措置を講じることが義務付けられました。
マタニティハラスメントを定めている法律
「職場において行なわれるその雇用する女性労働者に対する当該女性労働者が妊娠したこと、出産したこと、労働基準法第65条第1項の規定による休業を請求し、又は同項若しくは同条第2項の規定による休業をしたことその他の妊娠又は出産に関する事由であって厚生労働省令で定めるものに関する言動により当該女性労働者の就業環境が害されること」(男女雇用機会均等法 第11条の2)
「職場において行なわれるその雇用する労働者に対する育児休業、介護休業その他の子の養育又は家族の介護に関する厚生労働省令で定める制度又は措置の利用に関する言動により当該労働者の就業環境が害されること」
(育児・介護休業法 第25条)
マタハラの具体例
- ■制度等利用への嫌がらせ型
- 男女雇用機会均等法、育児・介護休業法が掲げる制度・措置を利用しようとすることなどにより、就業環境が害されることをいいます。
【具体例】
- 上司に妊娠を報告し育児休業を請求したら、「ウチは育休を取れる状況ではない」と言われた。
- 育児時間をとって早く帰ると、同僚から嫌味を言われる。
- ■状態への嫌がらせ型
- 女性労働者が妊娠、出産したことなどにより就業環境が害されることをいいます。
【具体例】
- 悪阻がひどいのに、上司から「妊娠は病気ではないので甘えないで欲しい」と言われた。
- 子どもが発熱して遅刻や早退を申し出るたびに、同僚から「本当に迷惑」と嫌味を言われる。
マタニティハラスメントの影響
マタニティハラスメントは、例え法律違反にならないとしても、多方面に悪影響をもたらし、企業に多くのデメリットをもたらします。起きてしまった場合の悪影響としては次のようなものが挙げられます。
- 妊産婦・胎児の健康への影響
- 働く女性のモチベーションの低下
- 退職などで優秀な人材を失う
- 取引先などからの評価が下がる
- 社会的な信用を失う